若旦那の部屋

~地元に愛され成長する若旦那が、世界へと羽ばたくまで~

「15年越しのお仕立て」の巻き

 みなさま、こんにちは。

今日から2月ということで1月もっとも印象に残ったお商売を紹介します。

「15年越しのお仕立て」。

まず15年前といいますと、私がちょうど成人したばかり「呉服」の「呉」も

分からない学生だった頃。

弊店に老夫婦がお訪ねになり、お孫さんのためにと訪問着と綴袋帯

購入されました。(お孫さんはまだ中学に入りたてだったようです・・・)

何度もいいますが15年前はバブル末期。

まだまだ染め屋、織屋はお金ではなく、技術の最高峰を目指してとにかく

良い品を作り、お客様もそれを求めた呉服業界にとってもバラ色のような

時代でした。

その15年前に購入されたものが遂にお仕立てにまわる時が来たのです。

その商品は私も見たことがない程、素晴らしく輝いておりました。

「反物を最後まで解く(出してしまう)と上手く巻けないから、何度も手前だけは

眺めたよ」って。

きっと、お孫さんのお嫁入りを楽しみにされたんでしょう。

着物・・・丁子屋謹製 帯・・・中井つづれ

細かい糸目、白揚げの波、配色も抜群。

八掛に灰桜地。たいていは共色なのに驚かされます。

新年にふさわしい感動を頂きました。有難うございました。